こんにちは!株式会社アスレです。
定期的に身体のこと、怪我のことや対処の仕方、トレーニング/リハビリのことなどについて発信していきます。
今回は膝関節について構造や発生しやすい怪我などについてご紹介していきます。
#1 膝関節の主な構成要素と怪我について
膝関節は膝蓋骨含めた3つの骨が平面で構成する関節です。このため、骨のみでは構造的に不安定であり、その不安定生を補うために「内・外側の半月板」と「4つの周囲靭帯(内・外側側副靭帯、前・後十字靭帯)」が重要な役割を担っています。この半月板と靭帯が膝関節の運動時に不安定な骨構造の安定性を補償しながら、膝関節に求められる高度かつ複雑なストレスを受け止めるための柔軟性と、破綻せずに運動を維持・制御するための強度という特性が要求されています。
こういった構造や機能があり、スポーツなど高強度の動作により生じるストレスが靭帯や半月板の限界を超えた時にこれらの損傷は発生するため、怪我をした本人は明確に受傷機転を記憶していることが多いです。
膝関節の靭帯・半月板損傷の発生頻度に関する報告では、全スポーツ外傷のうち39.8%が膝関節に関係していたとされ、このうち靭帯・半月板損傷の内訳は、前十字靭帯が20.3%と最も多く、次いで内側半月板損傷が10.8%、内側側副靱帯損傷が7.9%、外側半月板損傷が3.7%、外側側副靭帯損傷が1.1%、後十字靭帯が0.65%であり、前十字靭帯及び内側半月板損傷の発生頻度が高いです。
近年では、スポーツシューズの高機能化、及びスポーツ競技を行うフロア環境・グラウンド環境の高機能化により、スポーツ動作中に足底が滑りにくくなったことも、関節的に膝関節に対する外力を増大させるため、膝関節靭帯・半月板損傷が増加している要因とも考えられています。
#2 膝関節の構造とバイオメカニクス
膝関節は、生理的外反と呼ばれる特徴があり自然と外を向くような構造になっています。そのため足に荷重した際は外方向への外力が働きやすくなっており、それに対抗するために内側側副靱帯は外側側副靭帯に比べ幅広く強靭な構造を持ち、膝関節が伸びた時(膝関節伸展位)に緊張し、この外力に抗っています。
しかし、膝が曲がった状態(膝関節屈曲位)では内側側副靱帯は一部を除いて緩んでしまうために、外反を抑えることができない。外側側副靭帯も同様に膝が伸びていると緊張して、曲がると緩んでしまうため、屈曲位だと外反の制動因子になることができません。膝に付く筋肉や前十字靭帯も大きな制動力は有していないことから、屈曲位では周囲靭帯により左右の安定性はほぼ得ることができないために、不安定性が高まります。
このことに加えて、太ももの骨(大腿骨)の構造も屈曲位で不安定性に影響を与えます。
#3 まとめ
膝関節は「内・外側の半月板」と「4つの周囲靭帯(内・外側側副靭帯、前・後十字靭帯)」により安定性を確保していて、膝関節に求められる高度かつ複雑なストレスを受け止めるための柔軟性と、破綻せずに運動を維持・制御するための強度という特性が要求されています。
全スポーツ外傷のうち39.8%が膝関節に関係していたとされ、その中でも前十字靭帯及び内側半月板損傷の発生頻度が高いです。
膝関節は自然と外側を向く「生理的外反」を主とした左右方向の動揺が生じやすいが、構造的に伸展位では内側・外側側副靭帯が働く一方で、屈曲位では働かず、骨の構造的にも不安定生が増していきます。このことが膝関節靭帯・半月板の損傷と大きく関係していきます。
#参考文献
【1】森山英樹、(2016)、運動器疾患の病態と理学療法、東京都、医歯薬出版株式会社
【2】Majewsk M, et al. 、2006、Epidemiology of athletic knee injuries A 10-years study. Knee. 13
投稿日: 2023年10月04日
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