膝関節総論3〜半月板について〜



定期的に身体のこと、怪我のことや対処の仕方、トレーニング/リハビリのことなどについて発信していきます。
今回は膝関節にある2つの半月板について構造や発生しやすい怪我などをご紹介していきます。

1.膝関節の半月板
半月板は楔の形をした組織であり、関節内における構造としては、内側半月板は前後に引き伸ばされたアルファベットのC型に近い形状をしており、これに対して外側半月板はO型に近い内側よりも閉じたC型の形をしています。内・外側半月板は、前方において横靭帯と呼ばれる靭帯によって繋がっており、それぞれの前端・後端(前角・後角部)のみが脛骨に強固に付着しています。そのため、半月板はこの脛骨付着部を起点として、膝関節の屈曲に伴い後方へ、伸展に伴い前方へと移動します。 この時、外側半月板は内側半月板に比べて大きく移動します。これは内側半月板の辺縁部で関節包と付着部を持つことが要因となっています。この構造により、移動量が制限されますが内側半月板の損傷頻度が高いことの一因にもなっています。このような構造及びその機能上、半月板の脛骨付着部には比較的大きな外力が生じることになるため、この部位にも靭帯と似たような構造があり、外力に対して防御的となっています。

2.半月板の機能
半月板の主な機能は、大腿骨-脛骨間の荷重を分散することと衝撃の吸収です。膝関節が伸展している時の半月板は、全接触面積の70%を占めているとされていて、伸展位では荷重分散に大きく貢献しています。しかし半月板の形状は、膝関節伸展位における比較的曲率半径の大きい面に適合する形で構成されているために、一度膝関節が屈曲し、大腿骨顆部に接触する状態となると、荷重分散及び衝撃吸収能は必然的に一気に下がることになります。一方で、屈曲位では、大腿骨顆部と脛骨の前後方向の位置関係により、車のタイヤ止めのように脛骨に対する大腿骨の前後方向の位置制動に関して、くさび機能を発揮します。

3.靭帯損傷の受傷機転
半月板損傷は、膝関節靭帯損傷と同様にスポーツ動作において1回あるいは複数回の大きな外力によって生じる損傷と、膝関節におけるクッションとしての機能的特性から、反復される軽微な外力の積み重ねにより長期的な経過をもって発生する損傷とに分かれます。
スポーツ活動中の損傷は、前十字靭帯などと同様に接触型・非接触型に分けられ、なかでも非接触型の割合が高いとされています。損傷が発生するメカニズムにおいても共通点が多いことから前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷などとの合併損傷の割合も多いが、半月板の単独損傷もある。ただし、受傷機転に多くの共通点が見出されているものの、その男女比では靭帯損傷に比べて半月板損傷では男性の割合が高いことがその特徴となります。
このことから、半月板損傷は既出の靭帯損傷のように外力の特異性により発症するというよりも、単純に外力の大きさに依存して発症頻度が高まる可能性が考えられます。
内側・外側での損傷頻度は、内側半月板の損傷が外側半月板に比べ2倍強の割合で多いとされています。また、損傷部位としては、靭帯損傷に合併する損傷では外側半月板の後節や内側半月板の中節での損傷が多く、単独損傷では外側半月板中節での損傷の報告が散見されますが、縦断裂*や水平断裂*などを合併していることが多く、その損傷形態は多岐に渡ります。

4.予告
次回は、受傷した靭帯・半月板の治癒反応やリハビリテーション/予防トレーニングについてお伝えしていきます。
ぜひ引き続きご覧ください!!

投稿日: 2023年11月30日

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